一時帰宅

ジャパンハート アドバンスドナース吉田です♡

8月1日より島前病院で働かせていただいております。3カ月という短い期間ですが、ここ島前病院、そして西ノ島生活で得たものはとても多く、刺激的な日々を送っております。そんな中で先日、入院患者さんの一時帰宅に付き添わせていただいたので投稿させていただきます。
 長期で入院中のNさんは、最近、食事の際のむせこみが激しく、発熱、四肢の運動制限の悪化が見られていましたが、発熱がおさまった時期に一時帰宅をすることになりました。
いざ、一時帰宅の日。15時出発予定でしたが何だか私は落ち着かずソワソワ・・・
車に乗せてからもいつ吸引が必要な状態になるかわからないので気を張っていました。

自宅につくとまるでNさんを待っていたかのように家の前に猫が座り込んでいました

家に入ると曾孫さん達もはしゃいでます

奥さんがNさんの涙をふきます。看護師も含めみんなが泣いて笑ってにぎやかでした。
私たちは痰がらみの状態や咳を気にしたり、本人が一番安楽な姿勢を考えたり。
はたしてこのような場での看護師の役割はなんなのでしょうか?
私個人としてはできれば、どこか見えないような陰に隠れて黒子に徹したかったです。
家族だけの空間をつくりたいし、奥さんと二人だけの空間も作りたい。
動き回る曾孫さんを捕まえて、Nさんが抱いたり、触れる機会を作ろうかと少し思いましたが無理やりやることは私のエゴだと思い、自然のままで、曾孫さんがNさんの周りを走り回って自由にしているのが普段の生活と近い状態で一番心休まる時間かもしれないと思いなおしました。

途中、Nさんは焼酎を呑まれました。美味しそうに呑んでいる姿を見ていると自然とこちらも笑顔が出てきます。入院中も時には、とろみをつけて焼酎をあげたいとも思いました。
日中だったので難しかったですが、次、機会があれば家族の方と共に飲み交わせたらいいのではないかと思いました。一人酒より美味しいかもしれない
普段は水分を取るとむせこみが激しく、呼吸困難を起こされるのですが、不思議と自宅で過ごされた2時間は一度も吸引器を使用することはありませんでした。体の中の酸素量を測る器械を持参しましたが、普段つけている酸素も必要ない状態で経過しました。

画像


以前、ジャパンハートの研修生として山梨県の牧丘病院というところで勤務させていただいていた際も、何度か訪問看護に行かせていただきましたが、必ずと言っていいほど皆さん、病院にいる時と自宅にいる時の表情が違います

生活の場である自宅こそ、人がその人らしくいられる場なのだと感じます。
医療には色々な場面があり、時には患者さんが納得するような十分な説明もできない状態で、その命を救うことに全てを費やさなければいけないような救急の場面もあります。しかし、こちらから自宅へ伺って行う医療、その方の生活スタイルや、リズムを尊重した医療も必要な医療の一つであり、どんな救急の場面でも患者さんの尊厳を守り、患者さんの気持ちを考えることは医療者として基本姿勢となる部分です。どんな場面でもそれを忘れずにいたいです。

自宅に伺うと、ちらっと垣間見えるその人らしさや、生きてきた背景に触れ合えることも魅力だと感じます。Nさんは旅館を経営されていました。伺ったお宅も、最近まで奥さんが一人で旅館を営業されていたということでとても綺麗で、今も人が泊まっていてもおかしくない温かくどこか懐かしい印象をうける港町の旅館です。奥さんから、一度火事で旅館が全焼したため通りを1本挟んだ場所に魚屋をたてて、二人で頑張って、頑張って働き、またこの同じ土地で旅館を始めたというお話を聞きました。

勝手な想像ですが、若いNさんが歯を食いしばって奥さんと二人旅館再建に向けて魚屋を切り盛りする姿が目に浮かびました。

こうやって看護師をしていると数多くの人の人生に、本の小さな時間でしかありませんが、関われることをありがたく感じます。福島育ちの私が、ここ西ノ島でご縁があってこの場に居られること。Nさんと家族の貴重な時間を一緒に過ごさせてもらえることをありがたく感じました

そして、今回の一時帰宅で特に印象的だったことが2つあります。
1つはNさんが「仏さん」と仏壇にいくことを希望されて、泣きながら手を合わせて線香をあげている姿。
画像


どんなことを感じて、考えているのかなと思いました。多くの命の流れのなかの自分。両親のこと、家族のこと  今日のこと・・・・答えは分かりませんが 先祖に感謝して、敬う気持ちを忙しさにかまけて忘れている自分を反省し、日本人の先祖を大事にする心を改めて気づかされました。日本人の習慣として仏壇に手を合わせるということは生活の一部であり先祖を思い感謝する大切な時間でもあります。入院中ではいくらがんばっても作りだせないこの時間を、Nさんご家族と叶えられただけでも本当に良かったとNさんとご家族の表情を見てそう思いました。

もう一つ、印象的だったのは受け持ち看護師の笑顔です

画像

受け持ち看護師とは、入院してから退院時、または退院後までその患者様を看護させていただく看護師の代表のようなものです。受け持ち看護師は、日ごろから受け持ち患者さんのことを少しでも知ろう、理解しようと努力します。Nさんの受け持ち看護師はこの一時帰宅のためにどれだけ、考え、不安を時々感じながらも楽しみにしていたか。きっとNさんと同じようにこの一時帰宅を待ちに待っていたと思います。

より安全に・安心して帰宅できるように日々の状態を観察しながら最適な方法や時間帯を考え、Nさんやその家族、病棟の他スタッフや師長と相談しながら準備をしていきていました。今回、付き添いをさせて頂いた私も色々なことを感じ、学ばせてもらいました。しかし、それ以上にNさんやご家族の一つ一つの表情や言葉に共感し、感動していたのは彼女ではないでしょうか。

看護は、患者さんやその家族との相互関係の中で成り立っています。それを実感する環境に今います。今回の一時帰宅でも、患者さんやその家族の笑顔に看護のやりがいを感じ、また頑張ろう、次はもっとこうしたいと思いを新たにしました。特にここ、島前病院では今までの私の看護師人生の中ではできなかった「看護」というものを体験させてもらえている気がします。いつの間にか正しく業務をこなすことに精いっぱいになり、患者さんの思いに耳を傾ける余裕もなく、自分をつなぎとめるのに必死で何を求めて看護の道を選んだのかわからなくなることもありました。

患者さんの気持ちに寄り添おう、くみとろう、求めているものは何か考えてそれを行動にしようとしている看護スタッフの方々がいます。残り少なくなりましたが、ここで色々な体験をして看護の楽しさをもっともっと知っていきたいと思います

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

よさこいママ
2014年11月03日 20:11
吉田さん 体験をとおして 感じられたこと読ませていただきました。ありがとうございました。このような医療がなされることがとても素晴らしいことと思います。
これからの ご活躍を 信じます。

この記事へのトラックバック